11月末に為替レートが円高に動いたことから、為替介入や金融緩和などの必要性が論じられた。 しかし、名目の円ドルレートだけを見ていると、判断を誤る危険がある。以下では、為替レートの評価にあたっていかなる指標を見るべきかを論じることにしよう。 実質実効レートは、 格別の円高にはなっていない 日本経済全体の海外との関係を一般的に考えるのであれば、本来見るべき指標は、実質実効レートである。これは、日本の貿易相手国との為替レートを貿易額で加重平均し、さらに各国間の物価上昇率の違いを調整した指標であり、日本銀行によって算出されている(【図表1】参照)。 これを見ると、つぎの諸点が指摘される(実質実効レートは、1973年3月を100とする指数で示されている。数が大きいほうが円高であることを示す)。 (1)この1年間程度の短期的な動きを見ると、実質実効レートは、2009年初に128.9であったものが、11