「美姫さんってさ、子どもの頃って何になりたかったの?」と僕が聞くと 「うーん、そうだね。」としばらく考えて「えら呼吸になりたかった。」と美姫さん。 「また、なんで?」と僕。 「だってさ、ジンベイザメって口開けてればエサが入ってくるし、国境も無いから自由だし。」と美姫さんは言った。 「美姫さん。哺乳類でも海の中で暮らしていけるよ」と僕が言うと 「えっ?そうなの?」と美姫さんが驚く。 「くじら。水中では息を止めててたまに浮上して息をするんだって。食べ方もジンベイザメと似ているよ」と僕が教えると 「おぉっ。今からでも遅くないじゃない。じゃあ、練習しなきゃ」と美姫さん。 次の日、学校から帰ると 「ショウ、聞いて!息止めが30秒から5秒伸びたよ。」と興奮気味の美姫さん。 そして美姫さんは電卓をたたきながら「一日5秒。1ヶ月で150秒。1年で54,750秒。それを時間に直すと約15時間、このまま5秒ず