この本の原書がフランスで出版されたのは83年だそうだが、ちなみにこの年日本では吉本隆明の『「反核」異論』が出版されている。 明かしえぬ共同体 (ちくま学芸文庫) 作者: モーリスブランショ,Maurice Blanchot,西谷修出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1997/06/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 52回この商品を含むブログ (46件) を見る 本文は二部構成になっていて、共に著者のブランショと深いつながりのあった、バタイユとマルグリット・デュラスをめぐって「共同体」というテーマが語られていく。 ブランショは、ジャン=リュック・ナンシーにおける「共同体」の概念(「無為の共同体」)を、次のように要約しているが、これはブランショ自身の「共同体」論と重なるものだ。 社会的な小単位と違って、共同体は何らかの営みをなすことをおのれに禁じており、いかなる生産的価値をも目的