「ベルギービールにベルギーチョコレート、ベルギーワッフル。東京にはこれらの専門店が数多くあるのに、なぜベルギーフライドポテトの店はないのだろう?」。 約20年前、ベルギーから日本に移住した実業家のロブ・ヴァン・ナイレン氏は疑問に思った。東京には各国のレストランがある。食べられない料理を探すほうが難しいくらいだ。それなのに、どうしてベルギーフライドポテトの専門店はないのか……。 ベルギーでフライドポテトは“国民食”と言っていい。国内には大小さまざまなフライドポテト販売店が5500店舗以上も存在し、ほとんどの家庭に専用のフライヤー(揚げ物の調理器具)があるという。国際連合食糧農業機関(FAO)の統計データによると、ベルギーでの一人当たりのじゃがいも年間消費量は約76キログラムで、日本(約21キロ)の3倍以上だ。 ついには、このフライドポテトを世界文化遺産に登録しようとする動きも本格化している。