ハイテク製品などの製造に欠かせないレアアース(希土類)。最大産出国の中国が外交カードに利用する中、米国の資源会社が増産に乗り出した。一時は中国との競争に敗れたものの、市況の回復を受けて“復活”した米国産レアアース。中国の寡占状態に風穴をあけることができるか期待が寄せられている。(米カリフォルニア州マウンテンパス 柿内公輔、写真も) 荒涼とした大地がどこまでも続き、人家はおろか建物一つ見当たらない。ネバダ州ラスベガスから車でひたすら走ること1時間。広大なモハベ砂漠に圧倒されながら、州境を越えカリフォルニア州に入ると、道路脇のせり上がった丘陵にようやく建物が見えた。米資源会社モリコープが運営するマウンテンパス鉱山だ。 「増産の準備で、皆大忙しで働いているよ」 ロッキー・スミス工場長の運転する車に乗り換え、赤茶けた岩肌を縫うように走り出すと、方向感覚がなくなった。敷地面積約9平方キロ、東京ドーム