ライター・編集者の飯田一史さんとSF・文芸評論家の藤田直哉さんの対談。前編、中編に続いて映画『シン・ゴジラ』について語り合います。 藤田 ところで、「政治」が描けていない、という批判も見かけました。むしろそこが「リアル」という意見が多いので意外だったんですが、これをちょっと引いて考えてみたいんです。 政治家や官僚や学者が活躍するものは、実際の様子を知っている人が少ないので、リアリティあるのかないのかを判断するのが難しいんですよね。当人たちや、取材をよっぽどしている人以外には、「リアルかリアルじゃないか」を判断する根拠となる経験が存在していないはずなんですよ。では、何を準拠にリアルを判断しているのか。 そう考えると、その「リアルさ」は、実際に経験した現実との素朴な対応で判断されているのではなくて、映画が生み出している「効果」だと考えたほうがいいですよね。その「効果」を生んでいるのは何か、と分