2020年7月27日のブックマーク (1件)

  • 社会学者・上野千鶴子が、人工授精(AID)を決意する女性を描いた川上未映子の小説について語る | レビュー | Book Bang -ブックバン-

    『夏物語』は、夏目夏子の物語、そして女の夏、太陽が天心にあって孕み産む充実の季節の物語。 女のライフイベントで出産に勝る重大なイベントはない。年長の女性たちを対象に、これまでの生涯でもっとも記憶に残る経験は何ですか? という問いに対して、最も高い頻度で挙げられるのは、最初の出産経験であって、結婚式などではない。出産の感動の前には、結婚式の喜びなど、霞んでしまうようだ。出産をした女性の表現者が、自分にとってもっとも切実なその経験を、きちんと言語化しようとしないのを、不審に思ってきた。 生まれることに自己決定はない。だが産むことには自己決定がある。この目も眩むような非対称を、どうやって埋めればよいのか? 母になる女たちは、この暗渠をどうやって越したのか? どうすれば、そんな無謀で勝手な選択ができるのか? わたしはその暗渠の前で、立ちすくんだ女だ。作者の川上はその暗渠を飛んで、子どもを産んだ。実

    社会学者・上野千鶴子が、人工授精(AID)を決意する女性を描いた川上未映子の小説について語る | レビュー | Book Bang -ブックバン-