納豆菌が作る物質に合成洗剤の働きを高める作用があることを、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが見つけた。製品化できれば、合成洗剤の使用量を減らして環境への負荷を抑えられるという。9月9日から札幌市で開かれる日本油化学会で発表する。 この物質は納豆菌が作り出す「サーファクチン」。環状ペプチドの一種。七つのアミノ酸がつながってできている。洗剤の分子を集合させやすくすることで、汚れを落とす力を高めるという。 研究チームは合成洗剤の主成分にサーファクチンを加える実験をした。1%添加すると、使用量を10分の1に減らしても洗剤としての能力が保てることが分かった。10%だと100分の1ですむという。今後、実際に衣服や食器などの汚れを落とす効果を調べる。 産総研の井村知弘・主任研究員は「サーファクチン自体には納豆独特のにおいはなく、添加した洗剤で服を洗っても納豆臭くなる心配はありません」