ポスドク問題。この言葉を聞いたことがある人は多いだろう。大学院博士課程修了後、任期付きの研究者「ポストドクター(ポスドク)」として不安定な立場にある人が多いことを指していう。そうしたポスドクへの支援はどう在るべきか。そして、東大の支援策とは。ポスドク問題に詳しい北野秋男教授(日本大学)と東大の担当者に聞いた。 (取材・桑原秀彰) 現状把握から支援へ 2018年度の文部科学省などの調査によると、ポスドクは全国に約1万5千人存在する。『ポストドクター―若手研究者養成の現状と課題』(東信堂)でポスドクの現状を分析した北野教授は、大学によるポスドクへの支援は未だ十分でないと話す。その根底には、博士課程の院生やポスドクがすでに自立した研究者であることを理由に、自分の研究・就職活動は本人の責任の範疇であり、大学が支援する必要はない、という考えが残っているのだという。北野教授はこれに対し「競争により優秀