日韓合意以降も、韓国では従軍慰安婦問題の真の解決を求めるデモが行われている。(写真:ロイター/アフロ) いわゆる従軍慰安婦問題をめぐって、日本と韓国の外交関係に暗雲が立ち込めてきている。今月1日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、日本の植民地支配に抵抗した「三・一独立運動」(1919年)の記念式典での演説で、従軍慰安婦問題に言及。文大統領は「加害者である日本政府が『終わった』と言ってはいけない」と発言。これに対し、菅義偉官房長官は「絶対に受け入れられない」と反発。これらの応酬の背景には、従軍慰安婦問題の「最終的・不可逆的な解決」とした日韓合意(2015年12月)の欠陥がある。 〇当事者達の頭越しでの「合意」 「最終的・不可逆的な解決」に至ったはずの、従軍慰安婦問題が、なぜ今、再燃するのか。その理由として、主に三つのことがあげられるのではないか。 まず、第一に、日韓合意が、従軍慰安婦と