ブックマーク / note.com/daitamesue (5)

  • 我慢には二種類ある|Dai Tamesue(為末大)

    我慢しないということを以前書きましたが、そこで「我慢は大事じゃないか」というご意見をいただきました。我慢しない利点は書きましたが、おっしゃる通り、何かを成し遂げようとすると耐えなければならない局面もあります。 我慢した方がいいのかしない方がいいのか。どういう時にした方がいいのか。これらを紐解くには我慢というものを、大きく二つに分けて考えなければならないと思います。受動の我慢と能動の我慢です。 受動の我慢は理不尽耐性と言ってもいいと思います。例えば「下は白く」などの学校のルールは合理的な理由はおそらくありません。けれどもそのように決まっているから守りましょうということを受け入れて守る事が受動の我慢です。 自然災害は人知を越えた如何ともし難い不条理なものですから、このような受動の我慢の性質が効いてきます。日在住の外国人の方に日語で印象的な言葉を聞くと今までで一番多かったのは「しょうがない

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  • 長期のストレスに弱い人|Dai Tamesue(為末大)

    コロナになってから聞いた中で最も興味深かったのは潜水艦の元船長の方の話だった。ずっと家の中にいるという状況を閉鎖空間と捉えると、潜水艦の乗組員の方がそのエキスパートなのではないかと思い話を聞いた。学びがある話がとても多かった。 潜水艦は音を立てると相手に位置を特定されてしまうために、乗っている間は基的に音を立てないように過ごすそうだ。会話もなるべく小さな声で行う。1日24時間という概念ではなく一サイクル18時間で、6時間勤務、6時間自由、6時間睡眠でグルグル回すそうだ。 一度海に出ると一ヶ月程度潜っている。ストレスを解消する上で重要だったのは事と、それから映画だったそうで、特に映画はヘッドフォンをつけ何かに没頭する体験が精神安定を保つ上でよかったらしい。少し前の話だと言われていたから今であればゲームなども入るだろうか。 興味深かったのは、一番大切な事はそもそも潜水艦乗りに向いていない性

    長期のストレスに弱い人|Dai Tamesue(為末大)
  • 選手村のコンドーム|Dai Tamesue(為末大)

    2000年のシドニーが私の初めてのオリンピックでした。 まず空港に着くとIDを作りそれから選手村に直送し選手村の中に入るときにウェルカムバックを受け取ります。 そのウェルカムバックの中には、お土産品とか、地元の子供達が作ってくれたものとかいろんなものが入っているのですが、そこにコンドームが入っていて驚いたことがあります。 選手同士で顔を見合わせて、無言で下を向いている女子選手や、または「おいおいこれってそういうことしていいってこと?」とはしゃぐ私のようなふざけた選手などいろいろでした。 あまり記憶が定かではありませんが、冊子が付いていて、「HIVに対しての啓蒙の機会でもあるし何より実用的だよね」ということが配布の理由だったと記憶しています。 一方でそこに居合わせた確か中南米の方の選手だったと思いますが、ガシッとコンドームをつかんで持ち帰っていました。まるでコインを扱うかのように、親指でぴー

    選手村のコンドーム|Dai Tamesue(為末大)
  • いると思った巨悪がいなかった場合に|Dai Tamesue(為末大)

    昔はどこかに全体に影響を及ぼして利益を貪っている奴らがいると考えていました。映画でも漫画でも大体悪の親玉がいるものです。 ところが大人になって人間関係が広がり、様々な立場の人の話を聞いているうちに、最初に思っていたこととは違う印象を抱くようになりました。どこまで奥に入っていってもそんな親玉が出てきません。むしろ親玉だと思っていた人も、だいたい弱みをもっていました。全ての力は誰かに委任されているから当然と言えば当然です。独裁者ですら、民衆と軍部が反対すれば地位を保てません。 さらに社会はあまりにも複雑です。昔よりも情報はオープンになっていて、相互に監視されています。しかも我が国は成長しているフェーズではなく、維持または衰退のフェーズです。余った利益を分配するというよりは、誰に痛みを負担させるかが議論されています。昔から日の会社での犯罪は、私腹を肥やすものよりは、会社のために仕方なく行ってい

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  • オリンピックを終えたアスリートの方へ|Dai Tamesue(為末大)

    オリンピックを終えた選手の皆さんお疲れ様でした。結果が良かった方も思わしくなかった方もいると思いますが、どの選手もここまで努力してきたことは素晴らしいことだと思います。 このようなタイミングでお話しするのは憚られますが、お伝えしたいことがあります。それはオリンピックに出たりメダルを取っても幸せになるとは限らない、ということです。 東京五輪の残像というがあります。 1964年に東京五輪に出場した選手を追跡取材しているものです。オリンピックの光があまりにも強いために、呪縛から逃れられず苦しむ様子が描かれています。オリンピックに出る方法、勝つ方法はたくさん語られていますが、出てしまった後どのように生きていくかは実はあまり語られていません。 大きな大会の後や目標を達成してしまった後に、燃え尽き症候群と言われる症状が出ることがあります。アスリートは極度の重圧にさらされているために一般の方よりも精神

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