神戸の学生たちとの交流のため訪れた「福島しあわせ運べるように合唱団」の指揮をしながら「しあわせ運べるように」を歌う神戸親和大の臼井真准教授(右)=神戸市北区で2023年12月27日午前11時51分、山本康介撮影 能登半島地震は津波や大規模火災、土砂崩れなどこれまでの巨大地震で見られた被害も複合的に発生し、備えの大切さを改めて浮き彫りにした。その前提となる被災体験は世代を超えて共有されているだろうか。阪神大震災から29年を迎えたのを機に、その可能性と難しさを探りたい。 年の瀬の2023年12月27日、神戸親和大(神戸市)の教室に歌声が響き渡った。福島県二本松市を拠点に活動する「福島しあわせ運べるように合唱団」による合唱だ。1995年1月17日の阪神大震災当時、神戸市立小教諭だった同大准教授の臼井真さん(63)が東日本大震災後、合唱団の活動に共感したのが縁で親交が生まれ、神戸の学生たちとの交流