1979年のアカデミー賞で視覚効果賞を受賞した『エイリアン』。たしかに視覚的なインパクトは絶大だったが、この映画が30年たった今でも、SF・ホラー映画史に残る傑作として古びていないのは、そこに強力な物語があったためでもある。 そんな『エイリアン』の物語は、追い詰められたひとりのSFファンの、孤独な夢想から生まれた。彼の名前はダン・オバノン。29歳、無職、無一文で、住む家も車もなく、友人の家のソファで寝起きし、SF映画の脚本を売ることで、そんな生活から抜け出すことを夢見ていた......。 1946年生まれのダン・オバノンは、南カリフォルニア大学の映画学部でジョン・カーペンターと出会って意気投合。カーペンターの卒業制作から始まった(のちに商業映画に格上げされた)宇宙SF『ダーク・スター』(1974年)で、脚本を書き、視覚効果を一手に手がけ、重要な役で出演する八面六臂の活躍を見せた。 卒業後は