ハルビン駅へ 日露中・交錯するロシア満洲の近代史 [単行本] ディビッド・ウルフ 講談社 2014-10-07 ひさしぶりに、かばちゃんの推薦。名著。 著者は、アメリカ人で、北海道大学のスラブ研究センターの教授。 ロシア側の文章を中心にして、19世紀後半から、1931年の満州事変までの間の、ハルビンの歴史や生活を定年に分析した本。 正直言って知らないことばかり。日本の政治学者や歴史学者からは分析されない、ロシア、ソ連時代の東清鉄道の中心地であったハルピンの姿がよくわかる。 東清鉄道を整備したウィッテを中心とするロシア大蔵省と、クロポトキンを中心とするロシア陸軍を確執など、興味深いが、特に、ロシア大蔵省が中心となって、ロシアの中では少数派のユダヤ人、ポーランド人、ロシア国教以外のキリスト教徒などを、積極的にハルビンに招いたこと。 これが、19世紀の最後から20世紀当初において、ハルビンの繁栄
東京ロンダリング [著]原田ひ香 事故や事件で人が死んだ部屋に一カ月間だけ住む、というのが主人公りさ子の仕事である。賃貸物件の場合、問題の部屋に一度誰かが入居すれば、それ以降の入居者には事情を説明する義務がなくなるらしい。そこで生まれた職業なのだ。 当然ながら、りさ子は死んだ人間の部屋ばかりに住み続けることになる。「住む」こと自体が仕事だから、あとは何をしていても自由なのだ。 ちょっと羨(うらや)ましいような気持ちになる。私も燈台(とうだい)守や山小屋の番人に憧れたことがあるが、それ以上に静かで人と関わらない仕事が、都会のど真ん中で可能だとは。 お金と効率の原則に支配された現代の東京にも、奇妙な「隙間」があったものだ。いや、その支配を突き詰めたからこそ生まれた「隙間」というべきだろうか。 だが、実際にそんな仕事をずっと続けたら、人間はどうなってしまうのだろう。「住む」だけでありつつ、それは
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