冬になり、凍った水たまりをみると、ついアイススケートの真似ごとをして滑って遊んでしまう。子供のころのような大胆な前傾姿勢をとれないのは悔しいが、まだまだ現役といって通用する滑りのはずだ。 もっとたくさん滑りたい! そうおもうのだけれど、ぼくが大人になってしまったからなのか、凍った水たまりは昔よりも小さく感じられ、叶わぬ願いに悲しみがトリプル・ルッツするばかりだった。 だがそんなとき、ある妙案が浮かんだ。 「そんなに滑りたいなら、自分の足を氷にすればいいじゃないか」 シンデレラはガラスの靴を履いて幸せを手に入れた。ならばぼくは、氷の靴を履いて夢を手に入れよう。 なんだこの書き出し。 (櫻田 智也) 氷の靴を履くために 半分寝ているみたいな導入のうえ、受験シーズン真っ只中に「すべるすべる」と連呼するのもどうかとおもうが、とにかく氷を履けばどこでもスケート遊びができる。そうおもったのだ。 「無邪