14:00 「おたくの配達員さんがうちの家の前で立ちションしたんですが!! 今! 父が押さえているので! 早く誰か来てください!!!」 10年前くらいだろうか、大学生だった僕は配達専門の寿司屋でアルバイトしていて、昼過ぎにとんでもない電話を受けた。 自覚出来るくらいに目を丸くした。シンプルな現象のわりに頭に全然スッと入ってこなくて、唖然としたまま無言になってしまった。 でも何か話さないとって思って、絞り出すように接客や対応とはかけ離れたセリフを言ったことを覚えている。 「えっ……どうして……?」 「知りませんよ!!! 店長さんに代わっていただけますか!?!?!?」 逃げるように電話を保留にし、店長を見ると大量の仕込みと格闘中だった。 この日は日曜日、予約も多く忙しい日だ。 「店長!! クレーム?クレームです、代わってほしいそうです!」 「ん? ワサビ? 遅れ?」 店長は不思議そうな顔で僕を