◆頑張れだけが励ましではない◆ 「がんばれ」だけが励ましではない-言葉かけのいろいろ 岸見一郎 はじめに 私が学んでいるアドラー心理学においては、子どもが人生の課題を解決し、社会に貢献する能力があり、人々が自分の仲間であると感じられるように援助することを「勇気づけ」という言葉で呼んでいる。本稿においては、「がんばれ」という言葉かけに代表される「励まし」がはたしてこのような援助のために有用なのかどうかということから始め、子どもを援助するためにどんな言葉かけが可能かを考察する。 「がんばれ」が子どもの勇気をくじくとき たしかに「がんばれ」といわれてやる気を出す子どもはいる。しかし、そのような子どもは「がんばれ」という親の期待を満たすことができる子どもに限られる。試験を例に取ると、たまたま悪い成績を取っても、次はいい点を取れる自信がある子どもである。 子どもが悪い成績を取ってきたら、多くの親は何