広島電鉄(本社・広島市中区)は、「レトロ電車」として親しまれてきた「大正電車」とドイツ製の「ハノーバー電車」の定期運行を今秋から取りやめた。ICカードが使用できず、乗客に不便を与えることが主な理由で、今後は鉄道イベントなどで活用される。 大正電車は1912年の開業当時の車両を再現したもので、84年の県観光キャンペーンに合わせて別の車両を改造して製作された。車体前後の救助網や人力ブレーキ用ハンドルなど、往時の設備を装飾として取り付けている。 ハノーバー電車は広島市の姉妹都市・ハノーバー市(ドイツ)から89年に寄贈されたもので、当時の欧州でスタンダードだったスリムな車体と大きな窓が特徴だ。 「より多くの市民に見てもらおう」と利用を開始。冷暖房のない大正電車は4~6月と10月の週末などに江波(中区)―横川駅(西区)間を1日4往復。暖房だけがあるハノーバー電車は11~3月の日曜と祝日に同間を1日4