【はじめに】 1995年に放送された新世紀エヴァンゲリオン。幅広い層を巻き込んで社会現象となったエヴァの特徴は色々あるが、「心を病んだ登場人物ばかり」というのも、しばしば挙げられる特徴ひとつである。碇ゲンドウにしても葛城ミサトにしても綾波レイにしても、いびつな心的傾向をもって描写されており、当時の社会病理と照らし合わせて考え込んだ人も多かったことだろう。もちろん、主要人物たる碇シンジと惣流アスカにおいてもこの傾向は顕著で、劇中、彼らの心象を巡る残酷物語がこれでもかと展開されている。 今回、ある人から「シンジとアスカはどちらが境界性人格障害に似ているのか?」という質問を頂いたのをきっかけに、久しぶりにシンジとアスカについて真面目に考えてみた。果たしてシンジとアスカはメンヘルチックなのか?特に、現代社会病理の一析出傾向として語られがちな境界性人格障害に似通っているのはどちらなんだろうか? 【境