日銀が決定した「実質ゼロ金利」などの包括的な金融緩和策は、市場に驚きを与えた。しかし、元財務官僚として政策の裏側を知り尽くす高橋洋一・嘉悦大教授は「表現は多彩だが内容は陳腐」と批判する。日銀の公表文書を検証すると、実はそんなに大騒ぎするような内容ではないことが透けてみえてくる。本紙コラム「民主党政権下の日本」の執筆者でもある高橋氏に、そのあたりを特別寄稿してもらった。 日銀は5日の政策決定会合で、誘導金利を「0・1%前後」から「0〜0・1%程度」とすることを決定した。さらに、国債、コマーシャル・ペーパー(CP)、社債、指数連動型上場投信(ETF)、不動産投信(J−REIT)などの金融資産の買い入れと、低利資金を金融機関に供給する「固定金利オペ」のために、臨時措置として基金の設立を検討するとしている。 基金の規模は、資産買い入れの5兆円程度と「固定金利オペ」の30兆円程度を合わせ、35兆