西口の地下道には大きな瞳がある。とても大きな瞳だ。その瞳には瞼がないので、瞬きすることはない。宮下芳子という彫刻家がここに設置してからというもの、40年以上もの間一度足りとも瞬きしたことはないのだ。 この前を歩くといつも、瞬きしないとドライアイになってしまうのではないかと心配になってしまう。でも、そんなことは大きな瞳には些細な事かもしれない。目の前を通り過ぎていく通行人を眺めているのが面白すぎて、瞬きする暇が無いだけかもしれない。そんな瞳は今日も瞬きすることもなく、行き交う人々をじっと眺めているのだった。
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