かつて水辺や田んぼに広く生息していた毒ヘビ「ヤマカガシ」。今年7月には福岡県と兵庫県で小学生の男児がかまれ、血清治療で回復したが、その血清がなくなるかもしれない。自然環境の変化による個体数の減少で製造に必要な毒を集めるのが難しい上、重症化することはまれで、採算性の低さも要因だという。 「ほかのヘビよりも血清の効果は高いのに受傷例が少なく、血清を製造しても採算が取れない」。日本蛇族学術研究所(通称ヘビ研、太田市)の主任研究員堺淳さん(62)は頭を抱える。 ヤマカガシは本州や四国、九州に広く生息。毒で重症化すると頭痛や脳内出血を起こし、最悪の場合、死に至ることもある。ただ、毒を出す歯は奥にあることなどから、かまれても体内に入りにくく、かつて一般に毒ヘビとは認識されていなかったほどだ。