原一男監督「ニッポン国VS泉南石綿村」を試写で観た。 泉南地域はかつて石綿紡績業が盛んだった。石綿(アスベスト)は断熱材、防火財、機械の摩擦防止のためにあちこちで使われ、日本の経済成長を支えた天然鉱物である。しかしながら2005年の「クボタショック」をきっかけに、全国的に石綿産業に関わった人たちの健康被害が明らかになった。石綿は防塵に混じって吸い込まれ、肺に突き刺さって20年以上の時間をかけて肺がん、中皮腫などの重い病気を引き起こす。泉南地域の人たちも石綿の健康被害を訴えて国家賠償を求める運動を展開していく。 この作品はそうした泉南の泉南アスベスト国賠訴訟の運動を追ったドキュメンタリー映画だ。高齢の原告の中には在日朝鮮人・韓国人で、他地域で差別され流れてきた移住者もいる。これまで社会運動に縁のなかった労働者とその家族が集まって、自分たちの手で補償を勝ち取ろうと立ち上がる。裁判は二転三転し、