日本ではそれほど騒がれないが、昨年の末からずっと欧米ではいわゆる“クライメートゲート”に関する記事が多く掲載されている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が採用した地球温暖化の有力な証拠とされるデータに、ねつ造の疑いがあることが分かった問題だ。当時のニクソン大統領の辞任にまで発展したウォーターゲート事件をもじって、「クライメートゲート(Climategate)」と表現される。このコラムを書いている人間として、この問題には無関心でいられないので、今回はこの問題を取り上げる。 “クライメートゲート”疑惑の舞台となったのは、国際的な温暖化研究の拠点の1つとして名前を知られる英国のイーストアングリア大学である。何者かが同大学の気候研究ユニット(CRU)のコンピューターに侵入して、1996年からCRUが外部とやり取りした1000通以上の電子メールをハッキングした。それがいくつかのルートを通じて