全国銀行協会(全銀協)が九日に発表した統計によると、銀行が企業などに貸し出したお金の四月末の残高は前年同月比2・2%増の四百三十兆六千三百五十七億円で、貸し出しは二十カ月連続で増えた。だが、増え方に勢いは出ていない。中小企業は借り入れに慎重で、日銀が四月に決めた大幅な金融緩和の効果が出るには、まだ時間がかかりそうだ。 (白石亘) 日銀は主に銀行から国債を購入し、その代金を銀行に渡す形で、資金の供給量を二年で二倍に増やそうとしている。家庭や企業の間でお金がぐるぐると回れば景気は活性化するからだ。そのカギを握るのは、銀行からお金が外にどれだけ出て行くか、ということだ。 全銀協の担当者によると、「一部の銀行で設備投資にお金が回り始めたという声がある」という。個人向けの住宅ローンや大企業による海外での企業買収でも、貸し出しは増えている。だが、「資金需要が強いという声はあまり聞こえてこない」(全銀協