対局室に入ると、すぐに主催紙のインタビューが始まった。 藤井は「終盤は負けの形だと思っていました」とポツリと漏らした。それを聞きながら永瀬は首をかしげて、投了した盤面を凝視していた。しばらくして天を見上げる。首を下げてから右の拳を額に当てて、また再度天を見上げた。 永瀬の番になり、優勢だった終盤について訊かれると、正着だった底歩は「第一感だった」と明かした。そして「対応がうまくできなかったと思う」と漏らした。逆転負けを喫した直後だったが、声のトーンは普段とそれほど変わらないようだった。 感想戦で判明した“恐るべきこと”とは