ファンにとっては、ごほうびのような小説。アーヴィングの全部の要素が入っている。強い女性=母、不在の父、レスリング、痛みを伴うセックス、成功と死、偽装された過去、車椅子、機械仕掛けの神、そしてメインテーマである「家族の愛」 ―― 無いのは熊の剥製を着た女の子ぐらいww さらに、本線・伏線に自伝的要素が織り込まれており、アーヴィングその人の集大成といってもいい。amazon紹介は以下の通り。 逃げた父はオルガニスト。 刺青師の母は幼子とともに後を追って北海の国々へ。 父を知らぬ息子は、やがて俳優になり――。最長最強の大長篇、待望の翻訳。 ただし、アーヴィング初読にはオススメできない。上下巻で1000ページを超える濃密な仕掛けにギブアップするだろうから。あるいは、悲喜劇と箴言をシモネタで味付けした小説のつもりで読むならば、前半の展開を「だらだらした」と評するかも。 じっさい、母→ジャック→父と続