祖母がつくるクッキーはおいしい。とてもおいしい。厚地で硬めでぱりっと食べ応えがあり、甘すぎずにクルミが香る。従弟たちも「ばあちゃんのクッキーは食べだすと止まらない」「やっぱりこれが一番」と口を揃える。レシピは娘である僕の母にも受け継がれているけれど、あんなにおいしいものを自分で作れないのも勿体無いので、直接習ってきた。 娘マチ子を連れて、祖父母のところによく遊びにゆく。僕にとってはばあちゃんだが、マチ子にとってはひいばあちゃんなわけで、マチ子のばあちゃんであるところの僕の母との差別化を図ったのか、ばあちゃんは「マチ子ちゃんには『おーちゃん』って呼んでもらおうかねえ」と言った。女学生時代のあだ名だったという。そんなこんなで僕と妻はマチ子の前でばあちゃんのことを「おーちゃん」と呼ぶようになり、マチ子も「おーちゃん、あいたいよー」とごく自然に口にするようになった。 そんな祖母のクッキーなので、『