まず目に飛び込んでくるのは、真新しい建物の外壁に飾られた巨大なフクロウのオブジェ。フクロウは、ローマ神話において知の女神ミネルバの従者とされる。今まさに飛び立たんとするさまは、研究所のスローガン「融知・創新」の象徴であり、「異分野の知を融合し、独創的な技術による新規事業を創出していく」という古森重隆・富士写真フイルム社長の強い決意が込められている。 2006年4月、富士写真フイルム()は、神奈川県開成町に研究開発の中核拠点となる「富士フイルム先進研究所」を開設した。 ナノテクノロジーや機能性材料を中心とした将来のコア技術を開発する「先端コア技術研究所」、有機材料を研究する「有機合成化学研究所」、遺伝子解析や医療診断システム、医薬品などの医療事業の強化を担う「ライフサイエンス研究所」という異なる技術分野の3つの研究所を1カ所に集約。総面積5万6000平方メートルという広大な研究所で、5~10