この冬の大雪で、現在ある気象庁の観測地点としては過去最高の積雪566センチを記録した青森市・酸ヶ湯。 「日本一」の座は酸ヶ湯の名前を一躍全国区へと押し上げたが、地元では意外な余波も出ている。 硫黄のにおいが立ちこめる山あいの温泉宿・酸ヶ湯温泉。高さ数メートルになる雪壁の間を5分ほど歩くと、気象庁の地域気象観測システム(アメダス)が見えてくる。周辺の国有林は雪に覆われ、高さ650センチに取り付けられた積雪深計もわずかに顔をのぞかせるだけだ。 「今回の記録で酸ヶ湯の知名度はぐんと上がった」と話すのは、温泉営業部長の小林慶二郎さん(50)。「日本新記録特別企画」と銘打ち、雪上散策を楽しむ1泊2日のツアーも急きょ企画した。ただ、利用はまだ1件。むしろ「大雪でも行けるか」「郵便は届くのか」など雪を不安がる問い合わせが少なくない。「雪で閉ざされているというイメージが広がっているのかな」と小林さんは苦笑