アニメーション脚本:志茂文彦 絵コンテ、演出:山本寛 作画監督:池田和美ちょっと昔の作品の好きな話数を振り返ってみましょうか、なる趣旨で。夏の代名詞とも言える作品ですが、放映当時、まず「髪のなびき」に驚いたのをよく覚えている。風の中に舞い降りて、過剰なほどに髪をなびかせる観鈴の姿。突如現れた少女を呆然と見上げる国崎往人の表情は、見ている視聴者の映し鏡のようだ、と。なびきの芝居は数あれど、あれだけの美少女然とした動きをする髪、今では珍しくなくなったけれど、一見して分かるグラデーション処理された瞳と相まってアニメナイズされた『AIR』の印象は1話で固まっていた。インパクトの大きかった「出逢い」の1話、続く話はどうなんだと思えば、丁寧極まりない舞台装置、登場人物の紹介劇。その2話をとりあげたいと思います。2話の特徴は「物語の主要な舞台をひとつの話数で回っていること」。防波堤から観鈴の家、学校、屋