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前評判がほとんど聞こえてこなかったので期待もそこそこに足を運んだところ、ああ驚愕、逆転満塁場外ホームラン! ヘンなデキモノみたいな違和感から来るいわばじくじくした笑いの持続。そこに「ええっ、大日本人ってそういうことなわけ!」に代表されるもはや唖然として高笑いするしかない奇天烈な転回。そんな独特でおなじみの世界が、やはりテレビとは比べものにならない大画面と大音量、さらに細部まで徹底したリアリティーでもって炸裂する。 頭をガンと殴られた感は、私としては『田園に死す』や『ゆきゆきて、神軍』に匹敵した。美術や演劇を含めてもこれほど面白がれた表現物はなかなか思い出せない。きょうびの芥川賞なら10作くらい束になってもかなわないだろう。 しかし考えてみれば、それほどの衝撃も当然予測してかかるべきだった。なんといっても松本人志の集大成、総力戦とおぼしき大チャレンジなのだ。それにしては、カンヌの皆さんはさて
June 19, 2007 『大日本人』は「怪獣使いと少年」である。 最初にハッキリいっておくが、ボクはいわゆる「松本信者」ではない。どちらかというと、ダウンタウンの笑いはあまり好きではないほうだ。もしテレビをつけてダウンタウンの番組とニュースをやっていたら、明らかにニュースのほうを観る。では、積極的に嫌いなのかといわれればそうでもない。ボクは松本人志、浜田雅功とはほぼ同年代の大阪人である。大阪人で松本のことを「天才」だなどと思う人はいない。あれは、どこの高校の、どこのクラスにも一人か二人は必ずいる、普通のお調子者である。その「普通感覚」が大阪の人間には心地よい。芸人の世界というと、徒弟制のキビシイ社会だと思われているが、ダウンタウンは、そこに普通の高校生感覚を持ち込んだ。だから、ボクの年代以降の若い人からは親しまれているのは確かだ。逆に上の年代の人からは、単なる生意気な若造にしか見えない
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