前評判がほとんど聞こえてこなかったので期待もそこそこに足を運んだところ、ああ驚愕、逆転満塁場外ホームラン! ヘンなデキモノみたいな違和感から来るいわばじくじくした笑いの持続。そこに「ええっ、大日本人ってそういうことなわけ!」に代表されるもはや唖然として高笑いするしかない奇天烈な転回。そんな独特でおなじみの世界が、やはりテレビとは比べものにならない大画面と大音量、さらに細部まで徹底したリアリティーでもって炸裂する。 頭をガンと殴られた感は、私としては『田園に死す』や『ゆきゆきて、神軍』に匹敵した。美術や演劇を含めてもこれほど面白がれた表現物はなかなか思い出せない。きょうびの芥川賞なら10作くらい束になってもかなわないだろう。 しかし考えてみれば、それほどの衝撃も当然予測してかかるべきだった。なんといっても松本人志の集大成、総力戦とおぼしき大チャレンジなのだ。それにしては、カンヌの皆さんはさて