内田樹・神戸女学院大教授 ■内田樹さん(60) 神戸女学院大教授 阪神大震災が起きたとき、小学6年の娘と芦屋のマンションに住んでいた。タンスの引き出しが顔に飛んできて目が覚めた。歯が折れていた。周辺の木造家屋はほぼ全壊し、神戸の街から煙が上がっていた。マンションは半壊、近くの小学校の体育館で3週間の避難生活を送った。 今回の東日本の地震で対応が難しいのは、まだ災害が終わっていないことだ。福島の原発が危機的な状態にある。気になるのは政府・東電の情報が遅く、被害を過小評価する解説が続いていることだ。首都圏から避難が必要ないと言い切る専門家もいる。だが、この後、大量の放射性物質が飛んできた場合、この人はどう責任をとるのだろう。 危機的状況では、リスクを過小評価するよりは過大評価する方が生き延びる確率は高い。避難が無駄になっても責める人はいない。「何事もなくてよかったね」と喜べばいい。「安全