→紀伊國屋ウェブストアで購入 「これはすごい!」、まずそう思った。本書のタイトルの「新」の後に「・(ナカグロ)」がある。その意味を問い、理解することが本書の価値を知ることになるとも思った。 表紙裏開きに、つぎのような要約がある。「地中海の帝国と言われるローマ帝国は、実は「大河と森」の帝国だった? 衰亡の最大原因とされる「ゲルマン民族」は存在しなかった? あの巨大な帝国は、わずか三〇年で崩壊した?-歴史学の最新の知見から<二一世紀の衰亡史>を語り、栄えた国が衰えるとはどういうことか、国家とはそもそも何なのかを考えさせる、刺激的な一書」。たしかに「刺激的」だった。本書は、「歴史学の最新の知見」を要領よくまとめた概説書ではない。著者、南川高志は欧米を中心とした最新の歴史学を踏まえて、「独自の考え」のもとに新たな歴史像を提示している。 まず、1970年代以降に歴史学界で新しい解釈の傾向が生じ、90