「『非正規』という言葉をなるべく使うな」。厚生労働省内でそんな指示をするメールが出されていたことが報じられた。 こうした、政府が自身にとって不都合な表現や統計や資料を、加工・修正・破棄してしまう例は、近年、枚挙にいとまがない。勤労統計で不正が行われ、「氷河期世代」を「人生再設計世代」と言い換える提案がなされ、あいちトリエンナーレへの補助金不交付が決定されるプロセスについては議事録が作成されてさえいなかった。 まるでインスタで画像を加工するかのような気楽さで、重要な指標や表現に手を加え、「見せたいもの」だけを世間に見せようとしたり、政権幹部をイケメン武士としてイラスト化した例に象徴されるように、なんとなく「いいね」な印象を国民の間に流通させようとしたりする——そんな「インスタ的政治」が出現しているのではないか。メディア文化論が専門の筑波大学准教授・清水知子氏が指摘する。 政治の「視覚的技術」