みなさん、こんにちは。山口周です。 第1回のコラムでは、先進国における文明化の終焉についてお話ししました。すでに多くの先進国では物質的に豊かな社会が実現し、それ以上の経済成長を望むのが難しい状況にあります。とりわけ世界で最も早く“便利・快適・安全”な社会を実現した日本は、その先の目指すべきビジョンを見失っています。 これからの時代、日本が得意としてきた“便利・快適・安全”を目指すモノづくりだけでは、社会は行き詰まり、企業の経営もさらに厳しくなるでしょう。今回は、具体例を絡めながら、今求められている企業やビジネスの形についてお話ししたいと思います。 “便利・快適・安全”から“情緒・ロマン・ストーリー”へ 現在、日本の家電メーカーは中国などの新興国に太刀打ちできず、業績不振が続いています。“便利・快適・安全”を目指す、日本のモノづくりの技術はコピーしやすく、すでにいろいろな業界でコモディティ化