人間は複雑な政治機構と強力な武器・軍隊をもち、定住生活を送るものと、比較的単純な統治形態のもとで狩猟・採集生活を送るものとに大きく二分されている。そして人類の歴史は前者による後者の支配・簒奪の過程であったことは、ほとんどの人が良く知っている事実である。しかし、人間がなぜそのように分化したのかについて、確言できることは少ない。このミステリーに、著者は生物学や地理学の実証成果からアプローチしている。「勝者」が誕生した経緯の説明から本質主義を取り除いているという点で、反権威主義的な正確の強い書物といえる。