「まず始めに伝えなきゃいけないことがある。君とは付き合えない」 そう言われて、怒りと失望に襲われたのは昨日の話。 迎えに行くからと17時に待ち合わせし、相手の家へとお邪魔する。時間も時間だし、どうするのかなぁと思って話をしていたら、冒頭の言葉が私に浴びせられた。「僕には好きな人がいる」という追撃を食らう。考えるより先にカバンとコートを持ち、「分かった。帰る。もう会うことはない」と言って部屋を出た。 私と彼(以後A)の付き合いは古い。 10年友人として付き合ってきた。お互いの高校へ行ったり、受験を乗り越えたり、私の恋人の相談をしたり、お互いの就活終わりを祝ったりした。とにかく、気を許せるし、私の会社の愚痴も、彼氏の愚痴もAには話せた。 10年の付き合いの中で、全く恋心がなかったと言えば嘘になる。明確に好きだという気持ちを抱いた時期も10代の頃はあった。でも、向こうにその気はないのが分かってい