「パヨク、ネトウヨはネットが作る」の幻想 社会を分断化する「真犯人」とは 田中辰雄 慶応大学経済学部教授 インターネットが登場した時、ネットの普及は民主主義を良くすると言われていた。いつでもどこでも誰でも議論に参加できることは、人々の相互理解をすすめ民主主義を発展させるだろう。インターネット草創期の人々は素朴にそう思っていた。 しかし、その後、論調は暗転する。ネットが一般に普及するにつれ、ネットでは極端な意見の人がののしり合う場面ばかりが増えてきた。「ネトウヨ」と呼ばれる右よりの極端な人々が現れ、対する左翼側に対しては「パヨク」という蔑称がつくられる。相手を敵視して攻撃する言葉ばかりが飛び交い、いまや相互理解が深まるような生産的な議論は、ほとんど見られない。 このように意見が極端化する現象は分極化(polarization)と呼ばれ、典型的には保守とリベラルの意見が過激化して相違が大きくな