――「うつ」にまつわる誤解 その(6) 前回(第5回)に登場した出版社に勤めるE子さんのケースについて、今回はE子さん側に視点を移して、彼女の中でいったい何が起こっていたのだろうかということを考えてみましょう。 小さなつまずきのはずが・・・ E子さんは、有名私立大学を卒業後、念願だった出版社に就職しました。当初はかなり張り切って、意欲的に仕事を覚え、残業も意に介さず頑張っていました。部内での人間関係もとても円満で、与えられた仕事はきっちりこなすしっかりした仕事ぶりなので、上司のTさんも、良い新人が入ってきたと高く評価していました。 そんなE子さんが不調を感じ始めたのは3年前、上司のTさんからある企画内容について軽い注意を受けたことがきっかけでした。 「君の思い入れはわかるけど、ちょっとこれはこの仕事の本筋からズレてしまっていると思うんだ。理想論としては君の言う通りだけど、会社が求め