3月に東日本大震災が発生した後、企業は多額の義援金を寄付し、社員をボランティアとして被災地に送り込む動きも出ている。だが、こうした取り組みで被災地の復旧・復興を長期にわたって支援できるのか。 そもそもCSR(企業の社会的責任)とは何か。今回の震災は、この問いを企業に改めて突きつけている。企業と社会の双方が利益を共有できる「ウイン・ウイン」の関係は。 企業の競争戦略論の大家であるマイケル・ポーター米ハーバード大学教授が新たに提唱した「Creating Shared Value」という考え方を通して、日本企業の実行例も取り上げながら、企業と社会との新たな関係のあり方を探る。 3月11日に東日本大震災が発生した直後から、多くの企業が義援金の寄付や緊急支援物資の提供など実施した。こうした取り組みには、「被災地のために何かしなければ」という純粋な使命感と、日本中の注目が集中している状況において「世間