優良企業を滅ぼす「破壊的技術」の恐怖 クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』翔泳社 2000 ビジネス書の寿命は短く、数年もたつと読むに耐えないということが多い。その走りとなったトム・ピーターズの『エクセレント・カンパニー』でほめられたIBM、DEC、ワングなどの「超優良企業」は、その数年後に没落してしまった。成功体験から多くを学ぶことはできないのである。 これに対して、本書は一九九七年に出版された後、むしろ年とともに評価が高まっている稀有なビジネス書だ。ジョージ・ギルダーやアンディ・グローブが絶賛し、『ビジネスウィーク』などが特集を組み、多くの賞を受賞して、出版から三年後の今もアマゾン・コムのビジネス書ベスト一〇に入っている。 本書の特色は、失敗を分析した点にある。特に印象的なのは、著者がくわしい実証研究を行ったハードディスク業界のケースだ。大型コンピュータ用の十四