次世代暗号方式として研究が進んでいる量子暗号システムで、長距離通信時にデータを中継する「量子中継」の改善により、伝送速度を1000倍に高速化する新方式を国立情報学研究所(NII)などが提案した。6月21日付けの米Physical Review Letters誌に掲載される。 NIIの量子情報科学グループと英Hewlett-Packard研究所、米スタンフォード大学が共同で提案した。光ファイバーを使った量子暗号システムの回線長は数百キロが限界とされ、これを延ばすには量子中継技術が必要になるが、従来方式では実用化は難しいとされていた。 共同提案した方法では、中継に必要な「量子もつれ」をコヒーレント光と原子を使って効率よく生成し、中継点で行う「量子操作」を高速で行えるようにした。新方式が実用化すれば量子暗号網を構築することが可能になり、量子暗号の普及で個人情報の盗難防止などにも威力を発揮するとい