しばしば、日本人は無宗教といわれるが、実際はどうなのか。「宗教のようなもの」という観点から、日本人と宗教の関わりを読み解く。 大きな反響を呼んだ『日本人はなぜ無宗教なのか』1996年に宗教学者・阿満利麿(あま・としまろ)氏が『日本人はなぜ無宗教なのか』(ちくま新書)という本を出した。これは英語や韓国語にも翻訳されるなど非常に大きな反響を呼んだ。阿満氏によると、日本人は無宗教だと言われてはいるものの、それは「創唱宗教」と比較しているからではないかという。創唱宗教とは、特定の教祖がいて明確な教義を持つ宗教を指す。キリスト教にはイエス・キリストが、仏教にはゴータマ・ブッダが、イスラム教にはムハンマドという教祖がいる。他方、ヒンズー教や神道には特定の始祖がいない。また民間信仰にも特定の始祖は存在せず、いわば無名の人たちによって自然に実践されてきたものである。 日本の宗教は創唱宗教から大きな影響を受