都議会のヤジ騒動では、海外メディアが「日本は男尊女卑の儒教社会だ」という類のオリエンタリズムを振り回しているが、日本は儒教とは根本的に異なるボトムアップの平等社会である。この違いを日本人も理解していない。 本書も指摘するように、中国で「国」という概念に含まれているのは皇帝と行政府だけで、民衆は含まれない。人口比でいうと0.1%以下の「官」の世界だけが国だから、「国を守る」とは「王朝を守る」ということに等しい。このような階級社会を維持する上で重要なのは、頭脳労働と肉体労働の分離である。 人体を頭脳がコントロールするように、民衆を皇帝がコントロールするのであって、その逆であってはならない。多くの社会では階級は貴族身分として世襲されたが、中国は頭脳労働を官僚機構という形で組織化した点で先進的だった。宋代以降、人口が流動化すると、地方を支配する貴族の力が弱まり、皇帝と官僚による一元支配が強まった。