「犬馬難 鬼魅易」(ケンバムツカシ キミヤスシ) 一ヶ月ほど前のことです。アレックス・カーという東洋文化研究者の書いたものを読む機会がありました。その中で犬馬難鬼魅易という表現を知り、それ以来この言葉が頭から離れなくなりました。どういう意味かというと、昔、中国の皇帝が宮中の絵描きに何が描き難くて何が描き易いかと聞いたところ「犬や馬は描き難く、鬼は描き易い」と答えたそうです。つまり犬や馬のように自分の周りにいるものは描き難くくて、グロテスクなバケモノは描き易いということなのです。 白州正子さんは「椿一輪を活けることはなかなかできないことですが、モンスターのような花は簡単に活けられる」とおっしゃったそうです。モンスターのような建築や造作物が世の中に増えてきたのは、たやすいことにはしる現代の象徴かもしれません。 また身近にあるものを軽んじてその価値に気づかず、よそにこそ価値あるものがあるんではな