税制、年金、失業保険、等の財政政策が所得や消費の不平等に与える影響は最近分析が進んできた分野だが、その一方、金融政策については、不平等とのかかわりに関する分析が進んでいない。主要な理由の一つは、金融政策は主に経済全体に影響を及ぼすものであり、ある金融政策の実施によってある人は得をしてある人は損をするというようなことはあまり起こらないと暗黙のうちに想定されているということがある。金融政策を議論するときには主にGDPや失業率、物価といった高度な集計量を主に見ることからもそのことがわかるであろう。 但し、失業率に影響を与えるということは、失業者あるいは失業しそうな人により強い影響を与えるということである。つまり、国民皆に同じように影響を与えているわけではない。しかし、国民の中でより困っている人に影響を与えるのは、そのほかの人に大きな悪影響を及ぼさない限り、許容されているのではないか。 財政政策は