社会においては協力が大事で、協力と信頼をもとにした社会システムの構築が重要という、それ自体はとってもよい主張の本なんだが…… これを言うために、「これまでは、人間は利己的で私利私欲でしか動かないという人間不信に基づく発想が各種の社会システムの基盤になっていた! でもいまやこの発想は、生物学でも行動経済学でも完全に否定された!」と言い始めるんだよ。 見た瞬間にすげー悪い予感がするんだが……と思ったら案の定。 これまでの生物学は、ドーキンスなどの、人は基本的に利己的だという主張が幅をきかせてきたが、でもスローンウィルソンなんかが群淘汰を復活させて愛他的な個体も成立し得ることを説明したぞ! ピンカーなんかが、攻撃性や愛他性も生得的であることを示したぞ! だから人間は利己的なんかじゃないんだ! これまでの人間観はまちがっている! shorebird 氏でなくても、進化生物学を少しでもかじって基礎を