地域住民の移動を支える公共交通機関が細ってきている。人口減や過疎化に加えて、新型コロナウイルス下での行動制限に伴う利用減も追い打ちをかけた。鹿児島県内も例外ではない。自由に動ける態勢づくりへどうすればいいか。地域公共交通の在り方を考える。(連載かごしま地域交通 第1部「ゆらぐ足元」③より) 南さつま市の加世田麓武家屋敷群、旧鯵坂邸内の一角に大きな紙が貼ってある。「南さつまを巡る魅力発見のバスの旅」の文字。地元で文化活動やまちづくりに取り組むNPO法人「プロジェクト南からの潮流」が2022年夏に開発を試みた、路線バスとコミュニティーバス(コミュバス)「つわちゃんバス」で回る観光ルートの紹介だ。 「目的があれば楽しんで乗るだろうし、利用者増に役立てばと始めた」。コースづくりに携わった当時の副理事長、福元拓郎さん(80)が振り返る。通常の観光ルートでは気付かない魅力を掘り起こし、武家屋敷群以外に
